日本の指定難病を起点に、原因遺伝子・表現型・関連遺伝子の候補へとたどる
← 動画でワークフロー 一覧へ日本の難病は、指定難病や小児慢性特定疾病といった国の制度にもとづく名前で呼ばれます。一方、海外のデータベースでは、同じ病気が希少疾患や遺伝性疾患として別の名前・別の分類で登録されていて、国内の疾患名からそのまま海外の情報にたどり着くのは簡単ではありません。このワークフローでは、日本の難病を整理した NanbyoData を起点に、OMIM で原因遺伝子を確かめ、DECIPHER と PubCaseFinder で表現型(症状)の側から疾患を見直し、最後に TogoDX/Human で関連遺伝子の候補を広げます。
ワークフロー
講演動画は、各ステップに該当する部分だけを再生します(全編は別ウィンドウで再生できます)。
NanbyoData は、指定難病と小児慢性特定疾病の対象疾患を整理した難病語彙集 NANDO(Nanbyo Disease Ontology)をもとに、疾患ごとの関連情報をまとめて公開しているポータルサイトです。難病名や NANDO ID、別名で検索すると、診断基準などの公的な資料に加えて、疾患関連遺伝子(厚生労働省の公文書にもとづく国内基準と、OMIM・Orphanet などの国際リソース由来)、OMIM・Orphanet・MONDO などの海外データベースの ID、HPO で表された臨床的特徴、バリアントや文献まで、1つのページからたどれます。以降のステップは、ここで得た遺伝子や症状を手がかりに進めます。
NanbyoData の概要ページには、対応する OMIM の ID へのリンクがあります。OMIM はヒトの遺伝性疾患と、その原因遺伝子・バリアントを網羅的にまとめたカタログで、遺伝形式や、どの遺伝子のどのような変異でどのような症状が出るのかといった報告を、文献とともに確認できます。国内の疾患名を海外の知識につなぐ最初のステップです。
同じ疾患と診断されても、患者さんごとに現れる症状は大きく異なります。DECIPHER は、表現型(症状)とゲノムのバリアントを結びつけた患者データを収載しているデータベースです。Phenotype browser では、登録された3万例以上の患者の表現型異常が HPO で整理されていて、表現型の分類から関連するバリアントを探せます。NanbyoData で確認した臨床的特徴(HPO)と見比べながら、遺伝子の側からではなく、症状の側から疾患を見直します。
希少疾患は1万近くあり、同じ疾患でも症状が患者さんごとに違うため、診断は簡単ではありません。PubCaseFinder は、入力した症状を HPO に対応づけ、各疾患の症状のセットとの類似度を計算して、候補となる疾患を順位づけして示すシステムです。HPO の階層構造を使い、症状どうしの近さも考慮してスコアをつけています。ここでは講演のうち、PubCaseFinder の仕組みと精度、国内での利用状況を紹介する部分を再生します。
該当部分を再生 21:20〜26:49 (約5分)
全編を再生(別ウィンドウ・29:41)原因遺伝子がすでに分かっている疾患でも、まだ見つかっていない関連遺伝子があるかもしれません。TogoDX/Human は、ヒトに関する国内外のデータベースから集めた情報を統合して探索できるウェブサービスです。希少疾患編では、鰓耳腎症候群を例に、既知の原因遺伝子群がもつ特徴(発現する組織や関連する疾患など)を条件として組み合わせ、ほかの関連遺伝子の候補を探す方法を紹介しています。
まとめ
日本の難病を調べる → 原因遺伝子を確かめる → 表現型から見る → 症状から疾患を探す → 関連遺伝子の候補を広げる。国内の制度にもとづく疾患名と、海外のデータベースの疾患名や遺伝子・症状の情報は、NANDO や HPO といったオントロジーを介してつながっています。疾患名・遺伝子・症状のどこからでも行き来できるようになると、1つの難病について得られる情報の幅が大きく広がります。
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