転写因子の結合や、ゲノムの立体構造の解析を学び、興味のある転写制御の様子をゲノムブラウザーで可視化する
← 動画でワークフロー 一覧へ遺伝子の発現制御を調べるにはどうするか。転写因子をはじめとする ChIP-seq 情報の網羅的なデータベースであるChIP-Atlasを利用して、興味のある転写因子の標的を探し、さらにはその転写因子がゲノム上のどこに結合しているかを確かめます。結合部位が遺伝子から離れている場合、その結合部位と遺伝子は、核の中でゲノムが折りたたまれることで近づいている可能性があります。そこで、ゲノムの立体構造を調べる Hi-C 解析について、講演動画から原理と公共データの使い方を学びます。最後に、集めたデータをIGV ゲノムブラウザーに読み込み、興味のある領域の転写制御の様子を可視化します。
ワークフロー
公開から年数が経っている動画です。ツールの画面や手順が現行版と異なる場合があります(更新予定)。
講演動画は、各ステップに該当する部分だけを再生します(全編は別ウィンドウで再生できます)。
使うツール
ChIP-Atlas は、公共リポジトリ(NCBI、EMBL-EBI、DDBJ)に登録されたほぼすべての ChIP-seq データを一様に処理し、閲覧・解析できるようにしたデータベースです。Target Genes 機能では、転写因子を選び、転写開始点(TSS)からの距離を指定すると、その転写因子が結合している遺伝子、つまり標的遺伝子の候補を一覧できます。自分で ChIP-seq 実験をしなくても、既報のデータから制御関係の手がかりが得られます。
標的遺伝子の候補が見つかったら、実際の結合の様子をゲノム上で確かめます。Peak Browser 機能を使うと、転写因子や細胞の種類を指定して、ChIP-seq のピークを IGV 上にまとめて表示できます。プロモーターの近くに結合しているのか、遺伝子から離れた領域(エンハンサーの候補)に結合しているのかを見比べてみましょう。離れた位置の結合部位がどの遺伝子に働きかけているのかは、ChIP-seq だけでは分かりません。そこで次のステップでゲノムの立体構造に目を向けます。
Hi-C 解析(講演)
ゲノム DNA は核の中で折りたたまれていて、配列上は遠く離れた領域どうしが空間的に接していることがあります。Hi-C は、この接触をゲノム全体で網羅的に調べる手法です。ここでは講演のうち、3C から Hi-C に至る実験の原理、解析結果であるコンタクトマップの読み方、ループ・TAD・コンパートメントといった立体構造、TAD の境界が壊れると遺伝子の制御が変わって疾患につながる例までを再生します。
該当部分を再生 5:53〜41:40 (約36分)
全編を再生(別ウィンドウ・58:33)Hi-C 解析(講演)
Hi-C も ChIP-seq と同じく、論文で公開されたデータを使えます。ここでは講演のうち、ENCODE などの公共データの入手先、.hic と .cool という2つのデータ形式、HiGlass や Juicebox を使った表示、pyGenomeTracks でほかのデータと並べて図にする方法までを再生します。生データからの処理(マッピング、正規化、TAD・ループの検出)まで知りたい場合は、全編をご覧ください。
該当部分を再生 0:00〜11:49 (約12分)
全編を再生(別ウィンドウ・43:58)最後に、ここまでのデータを IGV(Integrative Genomics Viewer)で可視化します。IGV は自分の PC 上でもブラウザ上でも動くゲノムブラウザーで、ChIP-Atlas からダウンロードしたピーク(BED 形式)やシグナル(bigWig 形式)、Hi-C から得られるループなどの相互作用データを、トラックとして同じ座標の上に並べられます。この動画では、インストールからデータの読み込み、表示の切り替えまでの基本操作を紹介しています。転写因子の結合部位と、それが接触している遺伝子を1つの画面で確認してみましょう。
まとめ
標的を探す → 結合の様子を見る → 立体構造を学ぶ → 公共データを使う → IGV で可視化する。ChIP-seq からは「転写因子がどこに結合しているか」が、Hi-C からは「その領域がどこと接しているか」が分かります。遺伝子から離れた結合部位がどの遺伝子を制御しているのかは、どちらか一方のデータだけでは決められません。両方を同じゲノム座標の上に重ねることで、興味のある遺伝子の転写制御の様子が見えてきます。
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関連講演動画
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