配列から系統樹を描く

似た配列を集めて、並べて、進化の道筋を復元する

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「この遺伝子は他の生物にもあるのか」「いつ枝分かれしたのか」——分子系統解析は、配列という文字列から進化の歴史を読み解く手法です。手順そのものは数十年変わっていません。相同な配列を集め、対応する位置を揃え、そこから系統樹を推定する。このワークフローは、その古典的で確実な流れを5本でたどります。使うツールは変わっても、この考え方は変わりません。

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    NCBI BLAST

    出発点 ― 比較する相手を見つけてくる

    系統樹を描くには、まず比べる配列が要ります。手元の1本を出発点に、BLAST で配列類似性検索をかけ、他の生物がもつ相同な配列を集めます。ここで重要なのは集める範囲の判断です。近すぎる配列ばかりでは枝分かれが見えず、遠すぎる配列を混ぜるとアラインメントが破綻します。E値やカバー率を見ながら、扱える範囲に収めるのがコツです。

    NCBI BLASTを使って配列類似性検索をする 8:55

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    Clustal Omega

    同じ由来の位置どうしを、縦に並べる

    集めた配列は長さもバラバラです。マルチプルアラインメントは、進化的に対応する位置が縦に揃うように挿入・欠失を補って並べる作業で、系統解析の品質を決める最重要工程です。ここが崩れていると、その後どんな高度な手法を使っても正しい木にはなりません。Clustal Omega は多数の配列を扱える定番ツールです。

    Clustal Omega を使ってマルチプルアラインメントを行う 11:27

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    Jalview

    自動の結果を、そのまま信じない

    アラインメントは自動で出ますが、そのまま使ってよいとは限りません。末端がガタついている、明らかに変な位置にギャップが入っている——こうした箇所は目で見れば分かります。Jalview はアラインメントを可視化・編集でき、そのまま簡易的な系統樹まで描けるツールです。まずここで木の概形を掴んでおくと、次の本格的な解析結果が妥当かどうかを判断できます。

    Jalviewを使って配列解析・系統樹解析をする 8:44

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    MAFFT / RAxML / FigTree

    アラインメントから、統計的に確からしい木へ

    発表や論文に使う系統樹なら、最尤法などの統計的な推定が必要です。MAFFT で精度の高いアラインメントを作り、RAxML で最尤系統樹を推定し、FigTree で整形して図にする。3つのツールを受け渡していく、古典的で王道の組み合わせです。ブートストラップ値を付けて枝の信頼度も示せます。

    MAFFT・RAxML・FigTreeを組み合わせて分子系統解析を行う 10:52

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    DoMosaics

    最後に ― 木の枝と、タンパク質の中身を並べる

    系統樹だけでは「いつ分かれたか」しか分かりません。各配列がどんなドメイン構成をもつかを木と並べて表示すると、「この枝でドメインが1つ増えている」といった、機能の獲得・喪失の歴史が見えてきます。DoMosaics はドメイン構造と系統樹を組み合わせて可視化するツールで、進化の話を機能の話につなげる回です。

    DoMosaicsを使ってドメイン構造と系統樹を可視化する 9:50

まとめ

集める → 並べる → 目で整える → 統計的に推定する → 機能と重ねる。分子系統解析の骨格はこの5段階です。とくにステップ2〜3のアラインメントに手間をかけるかどうかが、結果の質を大きく左右します。理論的な背景をきちんと学びたい方は、下の講習会シリーズへ進んでください。

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