似た配列を集めて、並べて、進化の道筋を復元する
← 動画でワークフロー 一覧へ「この遺伝子は他の生物にもあるのか」「いつ枝分かれしたのか」——分子系統解析は、配列という文字列から進化の歴史を読み解く手法です。手順そのものは数十年変わっていません。相同な配列を集め、対応する位置を揃え、そこから系統樹を推定する。このワークフローは、その古典的で確実な流れを5本でたどります。使うツールは変わっても、この考え方は変わりません。
ワークフロー
公開から年数が経っている動画です。ツールの画面や手順が現行版と異なる場合があります(更新予定)。
NCBI BLAST
系統樹を描くには、まず比べる配列が要ります。手元の1本を出発点に、BLAST で配列類似性検索をかけ、他の生物がもつ相同な配列を集めます。ここで重要なのは集める範囲の判断です。近すぎる配列ばかりでは枝分かれが見えず、遠すぎる配列を混ぜるとアラインメントが破綻します。E値やカバー率を見ながら、扱える範囲に収めるのがコツです。
Clustal Omega
集めた配列は長さもバラバラです。マルチプルアラインメントは、進化的に対応する位置が縦に揃うように挿入・欠失を補って並べる作業で、系統解析の品質を決める最重要工程です。ここが崩れていると、その後どんな高度な手法を使っても正しい木にはなりません。Clustal Omega は多数の配列を扱える定番ツールです。
Jalview
アラインメントは自動で出ますが、そのまま使ってよいとは限りません。末端がガタついている、明らかに変な位置にギャップが入っている——こうした箇所は目で見れば分かります。Jalview はアラインメントを可視化・編集でき、そのまま簡易的な系統樹まで描けるツールです。まずここで木の概形を掴んでおくと、次の本格的な解析結果が妥当かどうかを判断できます。
MAFFT / RAxML / FigTree
発表や論文に使う系統樹なら、最尤法などの統計的な推定が必要です。MAFFT で精度の高いアラインメントを作り、RAxML で最尤系統樹を推定し、FigTree で整形して図にする。3つのツールを受け渡していく、古典的で王道の組み合わせです。ブートストラップ値を付けて枝の信頼度も示せます。
DoMosaics
系統樹だけでは「いつ分かれたか」しか分かりません。各配列がどんなドメイン構成をもつかを木と並べて表示すると、「この枝でドメインが1つ増えている」といった、機能の獲得・喪失の歴史が見えてきます。DoMosaics はドメイン構造と系統樹を組み合わせて可視化するツールで、進化の話を機能の話につなげる回です。
まとめ
集める → 並べる → 目で整える → 統計的に推定する → 機能と重ねる。分子系統解析の骨格はこの5段階です。とくにステップ2〜3のアラインメントに手間をかけるかどうかが、結果の質を大きく左右します。理論的な背景をきちんと学びたい方は、下の講習会シリーズへ進んでください。
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