OMIMを使い倒す 家族性乳がんの関連遺伝子をさぐる

今回は、ヒトの乳がんの約5パーセントを占める、遺伝的要素の強い家族性乳がんを例に、ヒトの遺伝性疾患データベースであるOMIM(Online Mendelian Inheritance in Man)の使い方をご紹介します。家族性乳がんのリスク因子として、がん抑制遺伝子である BRCA1/2 遺伝子の変異が知られています。2009年現在保険診療には含まれていませんが、この変異を持っていると、持っていない場合より遺伝性の乳がんを発症する可能性が高まりますが,変異があれば必ず乳がんになる訳ではなく、遺伝性を疑われる乳がんを発症した人全てでこの変異が見つかる訳でもありません。ところで、乳がんの発症に関与する他の遺伝子や、他に BRCA1/2 遺伝子が関与している疾患はないのでしょうか。それらをデータベースを用いて知る一つの方法は,例えば、ある疾患のページでどのような遺伝子が引用されているかを見ていく事です。Molecular Genetics という項目をつぶさに眺めれば、それらの関係を読み取る事ができるでしょう。あるいは、疾患のページからClinical Synopsisというページで概略を掴む事もできます。また、大まかな傾向を掴みたいだけなら、もう一つの方法もあります。OMIMデータベースには大きく分けて疾患の情報と、その原因やリスク因子である遺伝子の情報の二種類が収録されていますが、この二つはID番号の違いや、検索オプションを用いると、疾患の情報と遺伝子の情報とに分けられます。つまり、疾患について言及している遺伝子や、遺伝子について言及している疾患のページを一覧できるのです。特定の遺伝子について興味があるが、その遺伝子がどのような疾患や表現型に関与しているかを知りたい場合に、この機能が役に立つかもしれません。

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