今回は下戸遺伝子(Asian Blush)として知られるALDH2の点突然変異を例に、Entrez SNP(
dbSNP)の使い方をご紹介します。
エタノール(エチルアルコール)の代謝産物である
アセトアルデヒドをさらに分解する、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼという酵素をコードしているのが、ヒトでは12番染色体に存在するALDH2遺伝子です。この遺伝子は一塩基多型(SNP)が酵素活性の顕著な違いを生む例としても有名です。ALDH2の多型はGG,
AG,
AAの3タイプがあり、AGタイプはいわゆる酒に弱く、AAのタイプの人は全く酒を飲む事ができません。欧米人はほとんどがGGタイプであるのに対し、アジア人ではAG,AAタイプの割合が高いことが知られています。
このALDH2の多型を判定できるキットは多数存在し、高校・大学等の学生実習や市民向け実験講座等でひろく使用され、遺伝子多型による個人差の例を検出できる優れた実験として確立されています。
ですが、判定結果だけではなく「実際にどのSNPの多型を見ているのか」が知りたい場合、どのように検索を行えばよいのでしょうか。
ひとつの方法は、あらかじめ知っているSNPの情報(ミスセンス変異であること、A/G多型である事など)をLimits機能で使用し絞り込む事です。動画の前半ではこの方法で多型にたどり着ける事をお見せします。しかし、ある遺伝子内でどのような多型が重要であるか、他にどんな多型が重要であるかを概観したい場合は、この方法は視覚的に優れているとはいえません。そこで便利なのが、動画の後半でご紹介するGeneViewという機能です。
Entrez SNP:Geneview
では、遺伝子領域内のSNPリストを一覧表示する事で,「翻訳後のタンパクで何番目のアミノ酸が変異しているか」「どんな塩基が何に置換されるか」「PubMed/OMIMへ引用されているか」などの情報を手がかりに、目的とする多型を探し出すことができるのです。